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4.4 液相拡散接合の歴史

  液相拡散接合に関する研究は、下記の二件の論文発表から活発になりました。

  1. アメリカの航空機エンジンメーカーPratt & WhitneyがNi基耐熱合金製の静翼同士の接合に適用・実用化した論文。本論文では、本接合法をTLP接合(Transient Liquid Phase Diffusion Bonding)と呼んでいます(D.S.Duvall, W.A.Owczarski, D.F.Paulonis: W.J. 53(1974), 203S)。
  2. その前に、アメリカの航空機エンジンメーカーGEが、同じ方法で、Activated Diffusion Bonding と名付けて、論文を発表しております(G.S.Hoppin, T.F.Berry: W.J. 49(1970),505s)。

 アメリカでの論文発表当初、日本ではTLP接合の用語が使用された事もありました。最近ほとんど「液相拡散接合」と呼ばれています。ですから、液相拡散接合の発祥は、アメリカと考えられていました。本接合プロセスは、ジョンボのジェットエンジン(JT—9D)の静翼を3個接合してクラスター化するのに使用されました。また、Ni基耐熱合金製の動翼、静翼の補修にも使用されています。

TLP

静翼同士の接合


 しかし、藤の木古墳の発掘調査で、金アマルガム(水銀と金の合金)を使用した接合品が遺跡から発掘され、液相拡散接合の原点は奈良時代にまでさかのぼる事が出来ます。

 遺跡から発掘された勾玉の断面の光学顕微鏡写真です。勾玉は銅板を小さなパイプ状に成形し、その表面とつなぎ目に金アマルガムを塗布しています。これを200〜300℃へ加熱加熱しますと、水銀が蒸発して、少量の水銀を含む金合金が残り、金メッキと同時に接合も出来ます。埋葬品では、銅は銅酸化物へと変化しています。メッキ部と接合部には、金合金が残留し、その金合金の組成は、74Au-3Ag-8Cu-15Hgですい(奈良県立橿原考古学研究所:斑鳩藤の木古墳、第二・三次調査報告書、分析と技術編)。金アマルガムでは水銀が約70%ですから、加熱で水銀が母材や大気中へ蒸発して、固相化しています。

methode narapiriode

勾玉の接合部                接合方法

 

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