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3.9 鉄鋼材料は大気中での接合ができますか?

 鉄鋼材料は大気中で接合できます。日本刀の製作は、木炭中で加熱し、赤く輝いている時、鉄を叩いて作られます。現在、鉄筋コンクリートの鉄筋は、建築現場でガス圧接を用いて接合されています。また、鉄道のレールの接合は、日本ではほとんど現場でガス圧接が適用されています。酸素・アセチレンガスでレールを1200℃程度に加熱し、高温で加圧して塑性変形を与えて接合しています。アプセット溶接では、通電して接合部を加熱して、引き続き加圧して接合部を変形させて接合しています。いずれも大気中での接合ですので、接合面間が酸化します。上記のいずれの接合でも接合面間の酸化物を外部へ押し出すような、さらにこの酸化物量を少なくなるように、継手形状や加圧方式を工夫して接合しています。結果的に多くの場合、接合部に比較的変形を与えて接合している場合が多いです。
 金属材料を接合する際、1)接合の初期では、接合面が大気ガスで汚染されます。2)接合が進みますと、接合面間に大気ガスが侵入できない状態となります。この二つに分けて大気の影響を考える必要があります。
 接合の初期では、接合面間へ大気が侵入して接合面を酸化します。接合面を旋盤加工し、例えば接合温度700〜800℃で、接合部の断面積の増加割合が20%程度増加しますと、この段階では接合部は外部から遮断され、接合部は全く酸化されません。接合部が酸化されるのは、接合面間で接合面積が50%までに達する以前の段階です。接合面が機械加工されていますと、比較的低い温度で接合面が外部から遮断された状態になります。
 このように接合部が遮断されますと、接合体の表面は酸化物層や脱炭層の形成が見られます。鉄鋼材料は大気中で加熱したからといって、性能は劣化することはありません。接合界面の酸化物も接合時間の経過、接合温度の上昇とともに、酸化物の酸素が母材へ拡散して、減少します。接合界面の酸化物量を少なくするには、接合面間の酸化をできるだけ抑制する必要があります。
 拡散接合では接合体の変形を小さくして接合しますから、接合面間の酸化を抑制するため、真空の接合雰囲気とします。
 接合部への変形、1000℃以上の加熱が許せるなら、加熱雰囲気を大気としても接合できることになります。

 

参考文献

  1. レールのガス圧接
  2. アプセット溶接時の界面の酸化物の挙動
  3. レールのガス圧接部の酸化物の挙動

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