3.15 接合界面での界面消失が必要でしょうか
拡散接合した際、接合界面での粒移動が進み、接合界面が消失する事があります。接合時間、温度の上昇で接合工程の進行とともに、接合界面の消失が進みます。このような段階では、結晶粒が移動しない粒界での接合強さは劣る事はありません。
鉄鋼やアルミなどの金属材料での粒界の特性は優れております。鉄鋼やアルミなどの金属材料を常温で引張り試験を行いますと、粒界で破断する事はなく、粒内破壊となります。これら材料では、破壊時の転位の移動が粒界で抑制されます。これの金属材料の機械的特性を向上させる目的で、結晶粒を微細化し、特性の向上が図られています。従って、接合界面の移動が無くても、空隙等の欠陥がありませんと母材並みに接合しています。
変態がある鉄鋼材料の接合では、変態時に簡単に粒界の移動を発生します。下図に見られるように、粒内に空隙や介在物が残留した接合界面となります。鉄鋼材料では、接合界面が簡単に移動し、接合界面が消失しているにも関わらず、継手特性が母材並みにならない場合がよくあります。
鉄を830〜930℃の周期的熱サイクルで、4MPaでの接合部の光学顕微鏡組織