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2.1 「金属を接合」するには

 金属原子は、「金属結合」で原子同士が結合しています。 金属結合では、原子配列が乱れている「結晶粒界での結合強さ」は、金属原子が整然と「配列した原子間での結合強さ」と同等です。ですから、我々が日常使用する鉄鋼、アルミニウムなどの材料は無数の結晶粒の集合体ですが、粒界で破断することがありません。結晶粒界を増やすほど、変形が粒界で抑制され、その結果、常温での材料の強さが増加します。積極的に金属の結晶粒を細かくして機械的性能を向上させています。
 一方、共有結合の材料では、原子の結合に方向性があります。従って、共有結合の材料の粒界の結合強さは、非常に低くなります。例えば、単結晶のシリコン材料を切断して、そのまま接触させ、加熱・加圧しますと接合します。しかし、接合面を回転させて接触させると全く接合しません。
 このように、金属の接合では、接合界面での結晶方位のずれは全く考える必要はありません。ですから、接合面を清浄化させると、金属は接合します。
 金属同士の接合では、「接合面を如何に清浄化」し、酸化物等を取り除いて、「接合面を清浄化するか」ポイントとなります。
 接合面を清浄化するためには、(1)接合面間で相対すべりを発生させて酸化皮膜を破壊・除去する方法(機械的方法)、(2)アルゴンイオンを照射して取り除く方法(物理的方法)の他、(3)酸化皮膜を活性な金属で還元する方法(冶金的方法)があります。たとえば、アルミ合金の接合では、接合面のアルミナをアルミ合金中のマグネシウムによる反応です。この還元反応によって、アルミナの表面酸化皮膜が球状化して、金属的な接合が得られ、この面積が増大して接合します。純アルミニウムの接合は困難ですが、マグネシウム含有アルミニウム合金は接合し易くなります。
 このように、金属を接合するには、如何に接合面を清浄化して、密着させるかが重要となります。
 凹凸のある接合面が接触しますと、突部同士が接触して、接合界面に空隙が出来ます。この空隙をなくするには、(1)原子の拡散による方法と、(2)すべり変形による方法しかありません。
 冷間圧接では、金属の再結晶温度以下で、接合部に大きな塑性変形を与えて接合しています。すべり変形が各原子面で発生すると、簡単に空隙の隙間をなくすることができますが、現実の結晶では、すべり面の間隔が非常に広いので、すべり変形で接合部の空隙を完全に消失させるのは困難です。
 再結晶温度領域に加熱しますと、拡散現象で接合面の密着の完全化が促進されます。工業的には、熱間圧接、鍛接がこれに属します。拡散接合では、「接合面の密着の完全化を拡散現象で達成」する方法で、再結晶温度より高い温度に加熱して、接合する方法です。

 

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