WELLBOND 拡散接合 情報館


HOME

活動・調査報告

拡散接合とは

拡散接合の実用例

拡散接合面は

拡散接合の原理

拡散接合の仲間

拡散接合の本

陽極接合

大橋修の経歴

WELLBOND

LINK

 

接合関連情報

拡散接合 Q&A

金属技術史

第6回 接着・接合 EXPO を見学

「第6回 接着・接合 EXPO」、「第9回 メタル ジャパン」が、幕張メッセで2022年12月7日(水)〜9日(金)で開催されました。本展示会は、その他6つの展示会と同時開催であります。 幕張メッセの第1ホールから第8ホールまでを使用しての展示会で、 第1ホールではセミナーが、毎日開催されました。初日の朝10時からの開催の「アルミニウムによる自動車軽量化技術と将来展望」と題する講演を聴講しました。 聴講時には、スマホで講演スライドをダウンロードできるなど、聴講者に対するサービスも充実しており、ほぼ満席の聴講者がありました。

expo-1

接着・接合EXPO 展示会場風景(2022.12.08 PM 3:00)

 拡散接合関連の展示は、(1)東北特殊鋼,(2)ヤマテック、(3)モールドアクト、(4)トップ精工でした。いずれも、中空構造を持つ製品の展示ですが、薄板の積層接合と大きなブロックの接合に大別されます。
  東北特殊鋼からは、薄板の積層接合品の展示です。板厚100μm程度の薄い板をフォトエッチングあるいはレーザー加工した中空部材を積層して、精密な積層接合を施工しています。接合時の加圧で接合材料が変形しますと、座屈や接合面の位置がずれることから、接合時の加圧による変形を極度に少なく制御して、接合しています。接合後、後加工することなく、接合品が完成しています。また、拡大鏡で観察した接合体は、(0.1mm幅、5mm角)の微小積層接合品の展示もありました。
材料的にはステンレス鋼をはじめ、ハステロイ、インコネル、純チタン、インバー、コバール等の薄板の中空積層接合体の展示がありました。これは半導体製造装置における各種治具をイメージしての製品でした。このほか、異種金属の接合例としては、様々な材質を組み合わせた各種クラッド材(アルミニウム/銅、アルミニウム/チタン、チタン/銅 等)や、正と負の磁歪材を拡散接合し機能特性を高めた磁歪クラッド材などが展示されていました。
  expo-2

展示品(東北特殊鋼のHPから)

次の会社の展示は、ブロック体の中空接合体が主でした。
(2)ヤマテックでは、アルミ6061合金、SKD材の同種金属接合、鉄鋼と銅合金のブロック材の接合品でした。アルミ板と銅板の拡散接合した引張試験片を展示し、母材破断した試験片の展示のほか、破断した銅接合面上にアルミが付着しており、アルミ内部で判断したことを紹介して、接合の完全性を示していました。接合体の接合部の完全性を向上させるため、拡散接合部の衝撃特性から、最近改善策の開発を進めているとのことでした。

expo-3
内部流路をもつ6061Al合金接合体のカットモデル(ヤマテックHPから



 (3)モールドアクトでは、SKD材、ステンレス鋼、アルミニウム合金ダイカストADC12合金の接合例がありました。アルミのヒートシンク、ステンレス鋼の金型例の他、接合体のX線透過試験結果の展示もありました。

expo-4

アルミ合金熱交換プレート(モールドアクトHPから)

 (4)トップ精工は、セラミックスなどの精密加工する技術を持っており、これを拡散接合へ転用し、今回がはじめての拡散接合品の展示とのことでした。
石英製 の直径390ミリの3枚の積層板の接合体の展示品では、内部には冷却水と熱電対挿入用の空路が設けられております。 その他、直径400ミリのニッケル板の積層接合体のカットモデルがあり、内部の中空構造がよくわかる展示になっておりました。溝幅6mm、深さ2mmの溝が彫られており、裏面からはφ0.8の穴が525穴空いております。 半導体製造装置用をターゲットとしているようです。

expo-5

純ニッケル接合体(トップ精工HPから)

セーレンでは、拡散接合で積層接合した予想される「高精細インクプリンタヘッド」を使用して製作された、自動車用シート材、電子部材等が展示されていました。

expo-6

高精細インクプリンタヘッド(セーレンHP

材料関係で興味ある展示品を紹介します。CO2削減に向けて、高機能材料が開発されています。高い強度と熱伝導性を併せ持つ銅合金の材料開発が活発です。チタン銅箔(JX金属)、高性能固溶強化型Cu-Mg合金(三菱マテリリアル)、結晶方位制御銅(古河電工)が興味深い材料でした。
 鉄鋼材料では、水素特性に優れ・レアメタル含有量の少ないステンレス鋼の開発がありました。従来のSUS316L材に変わる「オーステナイト系ステンレス鋼(NSSC STH2)」(15Cr-7Ni-9Mn-N)です。
  今回の展示会で感じたことは、コロナ禍が終わり、展示会に多くの人が戻って来た。また、拡散接合品の展示にも、多くの方々が興味を示して下さった。複数の拡散接合の展示説明員から、「興味を持っていただいてありがたい。しかし、「拡散接合とは」から、始まる。これからもっと「拡散接合技術」を普及させる必要がある」との言葉が印象に残りました。また、「売上高は右上がり」と嬉しい言葉もありました.

 

戻る