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第4回 精密 微細 加工技術EXPO 見学昨年の『精密微細 加工技術EXPO』展示会で、印象に残った製品・技術は、銅箔を積層拡散接合して製作された「厚さ1mmのシート型ヒートパイプ」(WELCON製)でした。薄いことから変形し易く実装が容易で、半導体の冷却装置としてスマートフォンや各種PCへの適用を予感しました。日本経済新聞社の記者も、それを予感したようで、「WELCON、半導体冷却器厚さ1mm、車や航空機、軽量化」で記事を掲載していることことが、本記事を書く際に分かりました。
展示会場の受付風景 今年の展示会で、最も印象に残った製品・技術は、ハンドベルト蛍光X線分析計(オリンパス製)です。簡単に短時間で金属合金種の判定が出来ます。10年以上前、当時早稲田大学・宇田応之さんが、「ポータブル型の蛍光X線装置」を製作し、ツタンカーメンの黄金のマスク等多くの文化財を非破壊で調査され、雑誌「金属」の誌上で、2006年4月から31回にわたり連載されています。今回の装置は、片手で持てる「蛍光X線分析装置」で、調べたい材料上で数秒間のX線照射で、組成と該当合金種が表示されます。会場での測定で試みましたが、SUS303とSUS321とが区別できる性能の高さには驚きました。測定範囲もズームで狭い領域の分析も可能で、文化財の非破壊検査にも威力を発揮しそうです。スクラップ選別用、貴金属測定用、スクラップ・リサイクル用、RoHS規制物質用等、目的に合わせた機種があり、年間世界で2000台程の販売実績があるとのことでした。
ステンレス鋼の上で測定 測定後の結果表示 拡散接合部材を量産した例として、iPodの部品でタッチパネル方式に切り替わる以前の部品ですが、ステンレス鋼をフォトエッチングして拡散接合して「クリッププレート」(SGK製)が量産されていたようです。 積層技術の制度向上
マイクロヒートシンク 銅フィン・AlN・銅箔一体型ヒートシンク ヒートシンク、熱交換器の製作にフォトエッチングした金属箔を積層拡散接合することで、性能が格段に向上します。流路を微細にする程熱交換する面積が増大して、交換機の体積を小型化できます。マイクロな流路の形成に従来フォトエッチング法が使用されています。3Dプリンターの技術、印刷技術と拡散接合の技術の融合が、コストダウンへのブレークスルーになる予感がありました。 インターネット上では、大企業が金属箔を積層拡散接合した熱交換器の発表があります。神戸製鋼所からは、燃料電池自動車用水素ステーション用熱交換器で、Diffusion Bonded Compact Heat Exchangerを開発しています。水素ステーションでは、100MPaの高圧水素を事前に-40℃まで冷却するコンパクトな熱交換器となっています。また、東北特殊鋼の「平成24年3月中間決算参考資料」が掲載されています。本資料の中に今後の「新技術開発」の一つとして、金属箔の積層拡散接合による熱交換器を記載があります。マイクロ熱交換機に注目して、開発・生産する企業の展示が、次年度は増加しそうな予感があります。 戻る
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