WELLBOND 拡散接合 情報館


HOME

活動・調査報告

拡散接合とは

拡散接合の実用例

拡散接合面は

拡散接合の原理

拡散接合の仲間

拡散接合の本

陽極接合

大橋修の経歴

WELLBOND

LINK

 

接合関連情報

拡散接合 Q&A

金属技術史

溶射学会春期大会

 溶射は、金属やセラミックス粒子を溶融して高速で基板に衝突させて、厚膜を形成する技術です。最近、粒子を溶融することなく粒子を固相状態で、基板に衝突させて膜を形成する技術が発展しています。本技術では、(1)従来のVOHFの燃焼炎温度を低下させたウォームスプレー法、(2)加熱した高速ガス流体で粒子を基板に衝突させるコールドスプレー法があります。
 今回の大会では、(1)装置開発、(2)コールドスプレー膜特性、(3)膜の形成機構についての興味深い発表があり、前回の大会発表からの研究の進展を感じました。

(1)装置開発(ウォームスプレー法)

 装置開発から、実際の膜特性の評価まで、下記の一連の報告がありました。これら報告の前に、新聞発表が行われています。

1.1 「サポイン事業による高圧型ウォームスプレー技術の開発」(プラズマ技研工業)では、トーチの形状開発、ガスと燃料の混合形態制御で、燃焼ガス圧力の高圧化の基本設計を行っています。

1.2 高圧型ウォームスプレーの装置設計と粒子挙動計算」(プラズマ技研工業)では、粒子30μのチタン粒子を1000℃以下で1000m/s以上の加速できる事が示された。

1.3 「PIV法による高圧型ウォームスプレー溶射粒子特性の計測」(NIMS)では、粒子速度を実測し1000m/s程度の粒子の加速を確認し、計算結果と比較的一致している事が示された。

1.4 「高圧型ウォームスプレーによるチタン合金の成膜」(NIMS)では、純チタン及びTi-6Al-4V粉末も緻密な膜が形成できる事が報告された。

(2)膜特性

2.1 「コールドスプレー皮膜の密着に及ぼす粒子速度の影響」(プラズマ技研工業)では、基材と膜との密着特性が向上した際の、膜の密着特性を評価する新しい評価法を提案して実測した。その結果、Al,ステン基材へ銅粉末のコールドスプレー膜は、多くは銅の膜内破断で、基材との密着性、結合性は非常に高い。 アルミ基板と銅粉の接合で、銅母材破断(試験片形状に依存)となり、本方法で、銅とアルミの接合が可能であることが分かる。会場内での研究者から、界面に部分的にはナノオーダーレベルの金属間化合物層の形成確認情報もあり、アルミと銅の界面の温度上昇が低いことが、本手法の特徴である。
2.2 「コールドスプレー法で作製した銅皮膜の熱処理特性に関する研究」(東北大学)では、熱処理によって銅膜の伸びが回復する。しかし、溶製材と異なり、回復速度が遅く、また、700℃加熱で、再結晶した粒界に多数の数十μmの空隙の発生を確認している。

2.3 「耐応力腐食割れ特性に優れるコールドスプレー皮膜の基礎的 検討」(東北大学)でも、熱処理の影響が検討された。その結果、SUS316膜内では、銅膜内に見られた粒界の空隙が全く観察されなっかった。拡散接合時でも銅の接合部には空隙が残留するが、鉄鋼材料では残留しない知見と一致していました。

(3) 膜の形成機構

3.1 「コールドスプレーの成膜性に及ぼす粉体圧縮強度と基材 の影響」(岩手県工業技術センター)では、類似条件(コールドスプレー)で、ニッケル粉、鉄鋼粉、チタン粉、銅粉の皮膜を形成し、その付着率と粉末の圧縮強さとの関係を検討した。その結果、圧縮強さの減少とともに、付着率が向上する。また、粉末の焼きなましによっても付着率が向上する。これは、粒子が積層される段階で、粉末材料の弾性回復力が粉末の積層過程に大きく影響していることを示している現象で、膜形成機構の一端を示しているように感じました。

戻る