WELLBOND 拡散接合 情報館


HOME

活動・調査報告

拡散接合とは

拡散接合の実用例

拡散接合面は

拡散接合の原理

拡散接合の仲間

拡散接合の本

陽極接合

大橋修の経歴

WELLBOND

LINK

 

接合関連情報

拡散接合 Q&A

金属技術史

NIMS一般公開

 例年は、4月の「科学技術週間」に開催されている「NIMS一般公開」の行事が、今年は事情により延期され、6月30日の開催となりました。NIMS一般公開では、最先端の研究室・施設が広く公開される事から、東京理科大学の学生2名と一緒に訪問しました。
 「クリープ試験機」、「超高温・超高速を利用したコーティング技術」の見学では、学生は「広い工場のような所での実験設備」にびっくりした様子でした。各種ボイラーやタービンなど高温部で使用する材料は、設備の高温性能を保証する観点から、「高温一定荷重下での時間と伸びのクリープ試験データ蓄積」の重要性を再確認しました。また、世界最長のクリープ試験に耐えた試験片は、材料はボイラー圧力容器用炭素鋼板(JIS SB480 0.3C)で、温度400℃、試験応力294MPaで、1969年(昭和44年)6月19日に開始して、2011年3月14日までの40年と8ヶ月の試験に耐えました。この試験片は、数%伸びと赤い酸化物を発生しているものの、まだ健全性を示しているように見えました。
 また、「プラズマ溶射」ではアルミナの溶射実験。「高速フレーム溶射」ではステンレス粉末の溶射実験。防音装置内での施行実験を防音装置外からの見学ですが、大きな音と遮光ガラスを通してみる輝きには、始めて見る人にはびっくりの様子。金属粉末を溶融して耐食、耐摩耗、遮熱等の厚膜皮膜を形成する技術が、広く産業界に利用されていること。また、皮膜の性能を向上させるため、溶射粒子を溶融する事なく固相状態で高速で基板に衝突させるNIMSオリジナルの「ウォームスプレー」が注目されている事が分かりました。
 表面原子の直接観察法である「アトムプローブ法」は非常に興味深い物でした。本装置は電界イオン顕微鏡を発展させた装置です。材料研究を始めたころ原子配列を直接観察する方法として、電界イオン顕微鏡によるタングステン針先端の表面原子配列の写真(参考書)を思い出しました。高い電圧を加えて電界蒸発によるイオン化現象で放出された原子を、金属表面の個々の原子を観察しながら、飛行型質量分析機でこれらの原子を同定できる事が可能となりました。本装置を使用して、各種材料の粒界での偏析元素の分析が可能となり、材料特性について、粒界での偏析元素から検討が活発に行われるようになったようです。最近ではネオジム磁石の磁性特性を、結晶粒と粒界偏析元素の観点から系統的に検討され、優れた磁性材料の研究が進められていました。

 大学で材料工学を勉強する学生にとって、材料研究者による最先端の設備・成果の説明は、説得力があり、机上での勉強と異なり、非常に印象に残った「NIMS一般公開」でした。

thermal spray

研究者から高速フレーム溶射の説明

 

戻る