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「複層鋼板プロジェクト」成果発表会

 平成18年度から5年間、東京大学を中心とした7研究機関の連携で進められた産学官プロジェクト(超強度軽量移動体を可能にする複層鋼板)の成果発表会が開催されました。
 今まで鉄鋼材料の性能は、超微細粒化やヘテロ構造を追求した均質材として発展してきました。下図は、今まで開発された鉄鋼材料の伸びと引張強さとの関係を示しております。これまでに開発された材料は、引張強さの増加とともに伸びが低下し、設計思想が類似しておりますからほぼ同じ線上にあります。本プロジェクトは、「延性材と脆性材を交互に複層化することでマルテンサイトの脆性・低延性を克服」し、今まで開発された鉄鋼材料の線上から外れた、高強度・高延性(1200MPa以上の強度で20%以上の伸び)を達成しております。

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複層鋼板の強度ー延性(概要集 p3)


 このように高強度・高延性を発現するには、フェライト層とマルテンサイト層を交互に積層する際、「界面での接合強さ」と「層の厚さ」が大きく影響します。破断伸びと脆性材料の厚さとの関係図(SPCC/SUS420は赤色, SUS304/SUS420は青色)に見られるように、計算値(実線)と測定値(プロット)とは一致し、接合界面の接合強さが十分であれば、マルテンサイト層を数十μm以下の厚さに薄くすると、マルテンサイト層の伸びが現れます。

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破断伸びの予測値と実測値(概要集 p7)


 講演会は、(1)複層鋼板での強度が現れる幾何設計指針、(2)複層鋼板での界面接合強さ、(3)複層鋼板から作られた角柱の機械的特性、(4)複層鋼板の曲げ加工性、(5)複層鋼板の水素脆化特性、(6)複層鋼板の非破壊評価、(7)複層鋼板の変形組織、(8)複層鋼板の変形挙動、(9)複層鋼板のマイクロ変形挙動等の講演がありました。
 最後にプロジェクトリーダーからの挨拶で、「従来とは異なる設計思想で、高強度・高延性の材料が得られることが明らかとなった。しかし、本材料を実用化するには、まだ基礎研究の他、本材料の接合・溶接施工法など研究が必須」とのことでした。

 なお、上記のプロジェクトを発展させた研究プロジェクトがスタートします。産学共創基礎基盤研究「革新的構造用金属材料創製を目指したヘテロ構造制御に基づく新指導原理の構築」です。本HPには、(1)技術テーマの概要、(2)研究課題名等が掲載されております。(2011.2.23)

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