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金属技術史

溶射学会2011年 秋期全国大会

 2011年11月14日から2日間にわたり、名古屋(ウインクあいち)で開催されました。一般講演28件で、そのうちコールドスプレー関連の発表が今回も多くありました。
「コールドスプレー銅皮膜のSUS304基材への付着挙動」(豊橋技大、黄国平)では、溶射条件を変化させて皮膜の凝着力への影響を検討。しかし、凝着力が数MPaと低いのが気になりました。
「コールドスプレーにて形成された銅皮膜の特性報告」(シンコーメタリコン、吉田満)では、コールドスプレーの適用が電気回路の形成である事を想定して、電気抵抗から検討されました。溶射条件を種々変化させて、電気抵抗を測定し、「粉末の酸素含有率の低下」と「溶射条件の選定」で実用化の可能性を示しました。
「固相粒子積層膜の粒子界面の観察」(豊橋技大 本田祐介)では、積層した粒子界面を観察し、粒子界面での相互拡散、化合物の形成について検討。Al/Cu界面で中間層の形成を確認して、相互拡散の可能性を示しました。
 「熱処理がコールドスプレー銅積層体の機械的特性に与える影響」(東北大学、渡邊雄亮)では、コールドスプレー銅積層体が熱処理で脆性から延性材へ変化すること。しかし、バルク材では焼き鈍し温度が300℃であるが、コールドスプレー積層体内では欠陥が残留して拡散を阻害するため、500℃程度に高くなる。
「コールドスプレーによる作製したNiAl金属間化合物皮膜組織に及ぼす原料粉末の影響」(岩手県工業技術センター、 園田哲也)では、AlとCu の混合粉をコールドスプレー。積層体に欠陥が多い事から低い温度で反応が始まり、低い温度で化合物層を形成する事等が報告されました。

特別講演では、「MRJの開発がもたらす産業の展望」と題して、「三菱航空機の藤江壮さん」から講演。
 日本の航空産業は長い間、自衛隊関係の生産が主でしたが、近年は民間航空機部門の生産が増加しています。また、世界的にも航空機関係の売上高が国民総生産の伸びを上回っています。
客席数が60〜99席数の小型ジェット旅客機は、ボーイングやエアバスが取り扱っていません。そして、採算ラインとなる総生産機数が少ない事から、YS-11に継いで民間機の生産を始める日本企業には最適機なようで、今後世界で小型ジェット旅客機は5000機程度の需要が見込めるようです。
本開発飛行機の特徴は、 快適な客室空間を持ち、また新開発の高性能ファンジエットエンジン(PW1000G)を採用する事で、燃費の改善を図り、一人の乗客を運ぶ燃費は、プリウス並みの30km/l とのことでした。本エンジンは最適なバイパス比を得るため、速度に合わせてファンの回転数を調整するためのギアをもっている事が特徴です。我々材料の加工屋に取っては興味のある講演で、本航空機の開発が順調に進むことが期待されます。

 

mrj

講演会場に展示されたMRJの模型

オーガナイズセッション「革新的接合法の現状と展望」では、下記の講演2件。

  1. 表面活性化接合の現状と展望(東京大学、須賀唯知)

接合には相互拡散は不要で、清浄な面が接触すれば接合できる。このような条件を達成するため系統的な研究を行い、その紹介。金属やセラミックスなどをイオン衝撃して清浄化した接合の基礎的な研究から、シリコンウェハーの常温接合、金属箔の接合、さらに酸素プラズマ活性化接合、フッ素活性化接合、水プラズマ接合、接合面に超微細結晶の蒸着による常温接合、さらに金属とセラミックスとは結合形態が異なるので、鉄箔を介在する事で接合が容易になる事を見いだすなど、MEMSなどの微細接合に適用の拡大が期待される報告でした。
(2) 超高速傾斜衝突を利用した同種・異種金属の固相接合(東京工大、熊井信次)
 コイル間に接合する板2枚を置いて、コイルにパルス電流を通電すると、電磁力で、板が衝突し接合できます。その衝突時のスピードは約600m/s にもなるようです。爆発圧接時の接合界面に見られる波模様が、電磁圧接時の接合界面にも観察されます。この波模様の発生について、接合材の材質を変化させた実験とシミレーションから、波の波形、方向、波長等について検討して、接合材の密度に密接に関係する事を明らかにしました。

 今回の講演2件は、高速で粉末が衝突して皮膜が形成されるコールドスプレーの時の現象と類似しており、非常に興味深いものでした。

 

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