第9回接着・接合エクスポを見学
第9回接着・接合エクスポは、最先端の異種材料接合技術から一般用途まで、幅広い接着・接合の技術を取り扱う専門展です。2025年11月12日(水)からの三日間、幕張メッセで開催されました。本エクスポは毎年同時期に、幕張メッセで開催され、今年は第9回目となります。混雑を避けるため、初日の10時からの見学でした。午後は、かなりの見学者で混雑模様でした。
拡散接合関係で、筆者に興味深いブースを紹介します。

第9回接着・接合エクスポ会場風景
- トップ精工
石英ガラスを2枚積層接合した大型冷却テーブル(φ390、11t)のほか、ニッケルを3枚積層接合したブランチングシャワープレート(φ310、20t)などの展示品がありました。高融点金属、セラミックス、レアメタルの加工を専門に扱う企業です。
昨年と類似な展示品もありましたが、今年初めての展示品は、SiCの2枚張り合わせ接合品とのことでした。現在、拡散接合装置2台での生産ですが、近々接合装置6台での生産体制になるとのこと。接合関係担当者も急増中で、拡散接合の勢いを感じさせるトップ精工の展示ブースでした。
日本経済新聞(2025.12.3)の掲載記事では、「大卒の新入社員の月給を38万円超の高水準に設定し、優秀な人材を集める」。34歳で課長から社長に昇進した中川氏は「日々勉強や改善を重ね、全力で会社を成長させたい」と決意を語っています。25年3月期の売上高は前の期比4割増の44億円。34歳の課長を社長に、新陳代謝で高める競争力を高める企業です。

SiCブロック(直径15センチ)の2枚張り合わせ接合
2. 東北特殊鋼
拡散接合品として、精密部品製造用トレー、精密積層品、異種金属接合品、磁歪クラッド材応用事例(振動アクチュエーター)の展示がありました。説明員の方も多く、展示品の概要説明。
これまで各種ステンレス鋼、銅合金、異種金属の拡散接合品が主流でしたが、今年は、新たにA6061合金の中空部品の組み立て品の展示がありました。接合面は鏡面加工した積層拡散接合。接合性能も確認済みとのこと。最近、半導体産業でアルミニウム合金の拡散接合製品の生産が活発化してきています。

A6061合金の中空積層拡散接合体
3. 富士電波工業
富士電波工業は、工業炉(電気炉)設計からメンテナンスまで、先進的な技術課題に挑む工業加熱炉企業です。拡散接合用接合装置の販売のほか、拡散接合の受託(2023年1月から)を実施しております。各種拡散接合品とそのカットモデルの展示がありました。

A6061同士、無酸素銅同士、ステンレス鋼/無酸素銅、各種中空体の接合品の展示
4. その他
金属箔を積層接合して、各種の製品が製作されています。金属箔の積層接合の際、中空部の金属箔が変形して困るとの相談が、時々寄せられます。金属箔の拡散接合時の変形について、担当者に確認してみました。その要約が下記です。
4.1 金属箔の積層事業者(C社)
4.1.1 SUS 304ステンレス鋼 金属箔の接合では変形を伴う。
4.1.2 本変形の原因は、材料中の残留歪み及び加工誘起マルテンサイトによると考える。
4.1.3 接合部の歪みを最小化するための工夫あり。
4.2 金属箔製造事業者
4.2.1 TA材は、窒素中で400℃から500℃で焼きなまし処理。
4.2.2 1000℃、4hでの拡散接合処理で、変形の可能性あり。
4.2.3 変形は、材料中の残留する歪みと加工誘起マルテンサイトの影響。
4.2.4 TA材はビッカース硬さが200以上あるので、加工歪みが残留。
4.2.5 材料中の歪みの残留の少ない材料は、BA材。
4.2.6 BA材は1050℃での加熱。軟らかいので、取り扱いが大変かも