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3.8 インサート金属の適用法は?

 拡散接合では、接合性の改善の目的でインサート金属を適用することが多くあります。適用目的を分類しますと、(1)接合界面での相互拡散による接合強さの低下を防ぐ目的で、相互拡散を抑制する金属の適用、(2)接合面間での接触面積を増加させるための軟質金属、超塑性金属の適用、(3)接合面間での相互拡散を促進するため、微細結晶粒膜の適用です。
 インサート金属を用いての拡散接合では、(1)インサート金属を溶融することなく接合する固相(インサート)拡散接合と、(2)インサート金属を溶融して接合する液相(インサート)拡散接合との分けることができます。
 後者は、ろう付け法と似ております。しかし、接合面間に加圧力を加え、また溶融金属を母材への拡散させて、溶融層を積極的の消失させる点で、ろう付け法と異なります。その結果、溶融した金属が加圧力で流動して、その金属厚さの均一化と空隙など減少につながります。

 インサート金属の適用法として、(1)金属箔、(2)粉末、(3)蒸着などがあります。

(1)金属箔————延性のある合金、純金属では圧延による金属箔が使用されます。また、ニッケル系の合金では、急冷凝固して作製した非晶質箔(アモルファス箔)も使用されます。接合にとって、非晶質である必要はありません。この合金系では、急冷凝固しないと箔が作製できないのです。金属の箔を利用することで、凝固した金属塊を砕いて作製した粉末と比較して、偏析が少ない。また、表面積が少ないことから、酸素含有量が少なくなり、接合部の介在物などの欠陥も少なくなります。たとえば、ニッケル合金を液相インサート金属接合した場合、適用する粉末径が大きくなるほど酸素量が低下し、また非晶質箔を適用した方が継手の性能が向上します。

(2)粉末————接合に利用される粉末には、(A)合金元素が原因で脆性となった溶融金属塊を機械的に砕いて、作製した粉末、(B)不活性ガス中で溶融金属を霧吹きして作製した粉末、(C)特殊な方法で作製した超微粒子粉末などがあります.

粉末を接合面間に適用する場合の最も重要な課題は、接合面上に如何に均一の厚さに粉末を分布させるかです。均一に分布させる方法として、有機物質で粉末を厚さ1mm前後の厚さに加工して適用する方法があります。この場合、接合時の昇温過程(300℃前後)で飛散して消失します。この有機物質の飛散の接合部への影響も検討する必要があります。
 実験室的には、篩を用いて接合面上に粉末を分散させると非常に均一の厚さとなります。また、篩前後の質量増加量で、適用金属の厚さを制御できます。
 超微粒子は粒子間同士が固着し易いことから、接合面上に均一厚さに分散させることが困難で、接合部に多くの空隙が残留し、空隙のない接合部を作るのが困難です。

(3)蒸着などーーーー蒸着で接合面上にインサート金属を適用する場合があります。蒸着法では、皮膜の形成速度が遅いことから、接合面の粗さが小さい接合材への適用に限定されます。また、無電解メッキ、化学メッキ等の利用もありますが、この場合、廃液処理など後処理が問題となります。

 

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