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拡散接合 Q&A

金属技術史

2.4 加熱するとなぜ接合面が清浄化できるの?

 金属を真空中で加熱しますと、表面の「汚れ」や切断時高温に加熱された「酸化変色箇所」などがなくなり、金属光沢となります。これは「光輝焼鈍」と呼ばれ、工業的にも広く使用されています。
 多くの材料は、真空中での加熱でその金属の輝きを回復します。この金属の輝きの回復現象は、次の二つの現象によります。「炭素による還元」と酸化物中の「酸素の金属材料への溶解」現象です。
 まず、「炭素による還元」による酸化皮膜の消失についてお話します。数原子厚さの表面層を分析できるオージェ電子分光分析装置内で、SUS304ステンレス鋼を加熱しながら分析した結果を下図に示しています。加熱する前の表面の組成は炭素や酸素が多く、次いで鉄が検出されます。試料温度が上昇しますと、700℃以上で炭素や酸素が減少し始めます。900℃以上で表面に硫黄が偏析しますが、表面組成はステンレス鋼の組成となり、表面の汚れは真空中の加熱でなくなります。

SUS304

ステンレス鋼の加熱下でのオージェ電子分光分析結果

 この加熱中の加熱雰囲気中の残留ガスの組成を、質量分析装置での測定した結果を下記に示します。表面の炭素と酸素が減少し始めた700℃以上の温度になりますと、加熱雰囲気中のCOガスが急激に増加しています。これは材料中の「炭素による酸化物の還元作用」で、酸化皮膜が消失と考えられる理由の一つです。酸化皮膜の消失が、「炭素による還元現象」による材料は、ステンレス鋼のほか、炭素鋼など炭素を固溶できる材料です。

gas

加熱下でのオージェ電子分光分析装置内での雰囲気ガスの組成変化

 銅は炭素を固溶しません。銅をオージェ分析装置内で加熱しながら分析しますと、表面の炭素量は変化しませんが、酸素は加熱温度の上昇とともに徐々に減少します。残留ガス分析ではCOガスの変化はありません。これは酸化物中の酸素が銅中へ拡散して、銅の酸化物が消失するためです。

copper

銅の加熱下でのオージェ電子分光分析結果

下図は、チタンをオージェ分析電子分光装置内で加熱しながら分析し結果です。チタンは酸素の固溶量が大きいことから加熱温度が400℃以上になりますと、表面酸化皮膜が急激の減少しています。
 このような表面の「酸化皮膜の減少」温度と拡散接合時での「接合発現」温度は一致します。接合にとって、酸化皮膜の消失現象は接合現象を左右する現象でもあります。

titaniuum

チタンの加熱下でのオージェ電子分光分析結果

 チタン粉末粒子とアルミナ粒子を混合して真空中で加熱すると、どのように粉末混合体は変化するでしょうか。その変化の要約を下図に示しています。加熱温度が800℃以上になりますと、アルミナの酸素がチタンに固溶し、またアルミナの分解で発生したアルミニウムもチタンに固溶します。従って、最終的にはTi-Al 合金が生成されます。
 チタンとアルミニウムを拡散接合しますと、接合界面のアルミナが消失し、チタンとアルミニウムの反応生成物が形成され、接合できます。

 ti-al

チタン粉末とアルミナ粉の混合体を加熱するとチタン合金へ変身

 

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