WELLBOND 拡散接合 情報館


HOME

活動・調査報告

拡散接合とは

拡散接合の実用例

拡散接合面は

拡散接合の原理

拡散接合の仲間

拡散接合の本

陽極接合

大橋修の経歴

WELLBOND

LINK

 

接合関連情報

拡散接合 Q&A

金属技術史

大阪大学・新技術説明会を聴講

 「大阪大学・新技術説明会」が、大阪大学とJSTの共催で、JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)で開催されました。17件の新技術の紹介のうち、接合に関する紹介が4件ありました。興味深い最先端の技術を紹介します。

  1. レーザで実現する樹脂と金属との直接接合(接合科学研究所、川人洋介先生)(タイトルをクリックすると当日の配布資料がダウンロードできます)

 金属と樹脂を重ね合わせて接合部にレーザを照射して、金属を選択的に加熱しプラスチックを間接的に加熱。その結果、プラスチックが半溶融してプラスチック内部に気泡が発生。この継手の形成には、この気泡の発生が必須のようです。プラスチックと金属との界面には、気泡がなく、薄い酸化物層を介してプラスチックと金属が接して接合部を形成しています。界面にはナノレベルでの欠陥はないようです。プラスチック内部には、気泡が残留しますが。プラスチックとしてPET,CFRPが使用され、金属としてはSUS304、炭素鋼、チタンが使用された結果が報告され、重ね継手の引張り試験では、PET内部で破断していました。しかし、温度サイクルを与えますと、接合部の外周から剥離するようです。
 金属とプラスチックとの接合には、多くの接合法が提案されています。将来、自動車の製造において、アルミ、プラスチックの使用割合が増加します。接合機構を明確にしながら、信頼性の高い技術への発展し、自動車生産等への適用等、今後の発展を祈りました。

2. ナノ材料を利用したハンダ代替え高耐熱性接合プロセス(接合科学研究所、西川宏先生)
 銀、銅のナノ粒子を使用したハンダ代替えプロセスの開発研究である。有機保護材で被覆された「銀」、「銅」のナノ粒子を150℃に加熱しますと、有機保護材が蒸発し、ナノ金属同士の焼結反応が進みます。加圧下で焼結が進み、かなり低い温度での接合が可能となります。また、銀粒子と銅粒子を混合すると、共晶反応もあって、接合温度を下げる事が出来るようです。この接合プロセスでは、加圧が必須のようです。
 従来の高温ハンダ(Pb−Sn)に変わって、接合温度300℃での特性が示された。
また、金銀合金シート、銀アルミ合金シートから腐食によって、金のポーラスシート、銀ポーラスシートを作製して、これらのシート材の使用でも接合が促進される報告がなされました。
 宝飾関係で粒金技術が紀元前から知られています。この手法、銅酸化物粒子と炭素粒子を乳鉢内で微細化して、これをろう材として炭素の還元雰囲気中で接合する技術です。銅の酸化物を利用しますので、乳鉢で微細化します。炭素による還元で、ナノレベルの銅粒子が形成されて接合されています。また、江戸時代の小判。慶長小判は、86%金,14%銀でした。表面を金の光沢にするため、銀を化学的に腐食する「色揚げ」技術を使用しています。本提案技術は、まさに「温故知新」と感じました。

3.オーステナイトの安定化作用を利用した高強度・高延性を実現する革新的摩擦撹拌接合(接合科学研究所、藤井英俊先生)
 摩擦撹拌接合技術で炭素鋼を組織制御しての接合プロセスです。炭素鋼の従来の溶接、接合では、変態のため接合部にマルテンサイトが形成して接合部が脆化します。解決策の一つとして、炭素鋼を接合温度727℃(A1変態)以下で摩擦撹拌接合する方法。2つめとして、炭素鋼を強加工しますと、727℃(A1変態)以上の接合温度から冷却する際、高温での結晶構造がマルテンサイトに変わる事なく、残留オーステナイトとして残ります。摩擦撹拌で強加工して生成した残留オーステナイトに加圧力が作用すると、マルテンサイト化(加工誘起変態)して変形部分の強度が高まります。本原理は、TRIP鋼として実用化されています。本提案技術は、擦撹拌接合技術で組織を微細化して加熱・冷却速度の制御で、局部的にTRIP化する技術です。

 

 

戻る