界面接合研究委員会へ参加
今回、興味深い拡散接合の研究が2件ありました。「拡散接合温度を下げる手法」と「超合金の接合」です。
1.「水素誘起拡散変態を利用したチタン及びジルコニウムの低温拡散接合法の提案」(大阪大学、才田一幸)。チタンの接合面に電解法で水素をチャージします。接合面では水素を固溶していますので、HCPからBCCへと変化する変態点が大きく低下します。その結果、BCC構造の拡散係数が大きいですから、接合開始温度も大幅に低下する事になります。しかし、接合界面に若干水素が残り易い事から、接合部が硬化します。後熱処理で水素が拡散し軟化しますので、後熱処理が有効です。接合部での拡散係数を高める方法として、興味深い接合プロセスでした。今まで、接合部での拡散係数を高める方法としては、○接合界面に融点の低い金属、超塑性現象を有する金属、微細結晶金属等を挿入する方法が報告されています。
2.「超硬合金の拡散接合」(オーエスジー 権田英修)。WCとコバルトからなる超硬合金も、1200℃程度に加熱しますと、固相状態で接合できます。WCはこの程度の温度では全く変化しません。しかし、コバルトは蒸発・拡散し易くなり、その結果、接合界面の空隙を消失させ、接合できます。超硬合金の焼結体の作製は、コバルトの蒸発を抑制するため、減圧下の不活性ガス下で1300〜1400℃に加熱して行われます。接合時の現象と焼結時の現象が類似していること、超合金中のコバルト量の影響の他、各種金属を接合部に挟んだ際の接合特性、接合界面でのコバルトの挙動を詳細に検討されました。拡散接合で作製された超硬エンドミルの切削性能も評価され、接合品も性能的には全く遜色がないことが示されました。