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金属技術史

溶射学会全国大会

 日本溶射学会第93回全国大会に参加。溶射とは、溶融した材料を基板に吹き付けて皮膜を形成する表面処理法です。近年、皮膜形成材料の加熱温度を低下させ、またガスの速度を上昇させたプロセス(コールドスプレー、ウォームスプレー、カイネティックスプレー、エアロデジション等)による皮膜形成機構や皮膜特性の改善を図る研究報告が増加しています。このプロセス現象は固相接合の1種と考えています。これら研究報告の概要について、講演順に紹介します。

1WCFe基合金溶射粉末の開発とCold Spray 法による皮膜特性評価(フジミインコーンポレーテッド 佐藤和人)
 WCサーメットの成膜には、コストの観点からはHVOF、皮膜が高品質の観点からはウォームスプレーなどが適用されてきた。コールドスプレーよる成膜の可能性が検討された。その結果、600℃に加熱した窒素ガスの使用で200μm以上の厚膜の成膜が可能で、WCサーメット中の金属成分量の増加とともに、成膜速度が増加する。「成膜時の粒子のスプラットの形成の観点から、溶射条件と粒子の組成の影響」を明らかにする事が期待されます。

2.熱遮蔽コーティング(TBC)における耐酸化ボンドコートのプロセス依存性(千葉工業大学、盛建)
 タービンブレードの遮熱コーティングにウォームスプレー法を適用し、HVOF法やLPPS法が比較・検討された。Ni基単結晶基材上にボンドコートとトップコートを成膜した試験片に、各種の熱サイクルを与えて表面形状、皮膜の酸素量、気孔率、組織観察などから検討した。その結果、ウォームスプレー法では、成膜粒子の温度低下で成膜表面の粗さが増加して密着性の向上となり、また皮膜内の酸素量も従来のLIPS法と同程度に低下し、成膜内に酸化物に起因した酸化物も見られず、ウォームスプレー法の利点が示唆された。

3.光触媒酸化チタン成膜におけるコールドスプレー法とサスペンション溶射法の比較(豊橋技術科学大学 山田基宏)
 TiO2は光触媒機能を有するアナターゼから900℃以上の加熱でルチルへと不可逆的に変化する事から、成膜には低い温度でのプロセスが求められている。
そこで、コールドスプレー法(200〜400℃に加熱)とサスペンション溶射法(水の中に粉末を分散させ、HVOF)を比較した。その結果、コールドスプレー法では形成皮膜が白く、結晶構造もかわる事なく、NOXの除去率も高い。しかし、サスペンション溶射法では灰色に変化し、結晶構造が変化し、NOXの除去率も低下する。しかし、使用粉末を調整する事で、コールドスプレー法並の特性が得られる事が示された。

3.エアロゾルデポディションによるMgB2の常温成膜と超電導特性(産業技術総合研究所、廣瀬伸吾)
 MgB2は、秋山純(青山学院大学)教授が開発した高温超電導物質で、本物質を常温で、エアロゾルデポディション法を用いて成膜し、超電導特性を測定した。その結果、MgB2粒の最適化で、母材並みの電気特性が得られる事が述べられた。
 
4. 超音速フリージェットPVDによるNd-Fe-B膜の成膜条件が及ぼす膜組成への影響(芝浦工業大学 小林英仁)
 Nd-Fe-B組成の金属隗をアーク放電で溶解して、金属蒸気を減圧した容器内へ特殊形状ノズルを介して導入する事で、超音速に加速した蒸気を基板上に照射できる。本法で、成膜条件と膜の磁気特性との関係が検討された。良好な磁気特性が得られる成膜条件の選定指針が示された。今後、蒸発物質の組成制御法の確立が待たれる。

5.コールドスプレー法によるCFRP基材上の高品位金属成膜の作製(豊橋技術科学大学 岡崎広基)
 カーボン繊維強化複合材料の表面への銅、アルミ膜の形成に関する研究である。本条件(600℃、窒素圧0.5, 1, 2 MPa)では、カーボン繊維強化複合材料表面の損傷が生じるが、損傷を少なく皮膜を形成する可能性が示唆された。今後、カーボン表面及び母材に損傷を与えないプロセスの確立が望まれる。
  
6.低圧コールドスプレーによるWC-Co皮膜の作製と造流焼結粉末の最適化に関する検討(岩手県工業技術センター 園田哲也)
 適用範囲に拡大を目的として、原料粉末の硬さを変化させた。その結果、熱処理で硬さが低下した粉末の使用時には付着効率が向上。基板に衝突した粒子のスプラットの形状観察から、軟化とともに粒子が変形し、変形を促進している事に一因がある。

7.  遮熱コート/ボンドコート界面に生成する高温酸化物の成長に及ぼす残留応力の影響(東北大学、小川和洋)
 高温の使用環境下では、ボンドコート表面に酸化皮膜が形成される。この酸化皮膜の形成速度は、試験片形状とプロセス(LPPS法とCS法)に依存する。
CS法では残留応力が残る事から、その形成速度が遅いとの発表であったが、残留応力の測定結果が、震災の影響で全くなかった事から、今後の残留応力の影響の検討を期待したい。

8EBSDによるボンドコートの組織変化の観察(日立製作所、泉岳志)
 ボンドコート(LPPS法とHVOF法)によるボンドコートをEBSDで解析し、コーティング劣化の予測と解析に役立てるようとする研究で、今後の発展が期待される。

9.ウォームスプレー法による高損傷許容性WC-Co/メタル積層皮膜の開発(物質・材料研究機構、渡邊誠)
 脆弱なWC-Coと延性な銅を積層化して、その銅の体積率と強さ、破壊エネルギーの観点から検討し、表面が硬い延性材料(積層材)をウォームスプレー法で作製できる。さらに、界面強さ、各層の厚さへの影響についての検討も期待される。

10.ウォームスプレーWC-Co皮膜の力学的特性に与える熱処理の影響(千葉工業大学、森谷佑太)
 ウォームスプレー法によるWC-Coの特性改善を目的として、酸素量の異なる雰囲気中で加熱して検討。その結果、酸素量の低下で脱炭現象の発生もなく、母材並みの破壊靭性が得られる事を示した。今後、最適な加熱雰囲気の酸素量の選定指針の提示が期待される。

11.超音波加振によるコールドスプレー金属皮膜特性改善の試み(信州大学、近藤敬)
 超音波付与による皮膜の改善が期待されるが、プロセス中での超音波の加振速度は、コールドスプレー粒子の速度に比較して小さい事から、ほとんど期待できないようである。しかし、形成後の皮膜を超音波でのピーニング処理は効果があるとの報告でした。

12.コールドスプレーノズルの最適形状に関する考察(鹿児島大学 片野田洋)
 流体の計算結果から、「ノズルと流体との境界での抵抗のため、ノズルの径を約30%程度大きくする必要がある」事が示された。

13.微視組織に着目したコールドスプレー銅積層体の強度特性評価(東北大学、市川裕士)
 コールドスプレー銅積層体について、引張強さ、4点曲げ、硬さ、組織観察等から検討された。微小な荷重での硬さ測定では、変形の分布が測定できる事、積層体では結晶粒の微細化、加工硬化のため、伸びがほとんどなく破断する事などが示された。これらの電気特性への影響、延性改善策の検討が期待される。

14.コールドスプレー銅皮膜の密着強度に及ぼす粒子速度の影響(豊橋技術科学大学、渡邊悠太)

 コールドスプレー銅皮膜を形成した際の、膜厚、粒子速度、温度の影響について検討された。

 

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