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平成22年度 溶接学会秋期全国大会

 溶接学会は、9月7日から三日間、福島県郡山市にあります日本大学工学部で開催されました。初日は残暑厳しい日でしたが、台風14号が関東地方に豪雨をもたらした影響で、3日目はすがすがしい秋空が広がりました。

1. 拡散接合に関わる報告

 拡散接合に関わる発表は、「cBNセラミックスと超硬合金の拡散接合」、「超硬合金同士の拡散接合」、「超硬合金同士の拡散接合時のCoの挙動」「Pd薄膜とステンレス鋼の拡散接合」でした。
 超硬は「WCとCoの焼結」で作製されることから、Coの接合面での挙動が接合の鍵となりそうです。また、水素透過性の優れるPd箔を用いての水素高純度化装置作製の基礎実験で、箔との拡散接合の可能性が報告されました。

2. 超音波圧接、電磁圧接

 マイクロ接合の分野で、接合温度の低温度化を目的として、「銀蒸着した銅基板と銅リボンの超音波接合により形成した特異界面組織」、「超音波を併用したダイヤモンドのFe-42NiへのZn-5Alはんだ付け」、「半導体素子における常温超音波はんだ接合の界面反応」、「鉄鋼とアルミニウム合金の超音波接合」、「アルミニウムに超音波接合における接合過程」など、接合への超音波の効果の報告がありました。固相接合では、接合面の皮膜の破壊が重要です。超音波の付与は、接合面の皮膜の破壊に効果があり、接合性能が向上したと考えられます。
 接合面での皮膜の破壊に関連した研究では、「可動板を用いない銅箔同士の電磁圧接」がありました。電磁力で銅箔を衝突させて接合する方法ですが、最初に衝突する箇所では、平行な銅箔が衝突し接合部は形成されません。しかし、引き続き衝突する領域では、角度をもって斜めに銅箔同士が衝突するので、接合部が形成されます。
 また、金属粒子を高速で加速して、皮膜を形成するコールドスプレー法でも、高速で衝突した粒子の直下では接合しません。直下から少し離れた領域では接合部が形成されます。電磁圧接とコールドスプレーの接合部での両現象で、斜めに衝突する領域では相対すべりが発生します。この相対すべりが接合面の皮膜の破壊に重要であると感じました。

3. 粒子積層による厚膜創製プロセスの最前線

 各種の熱プラズマや燃焼フレームを利用して、粉末粒子を加熱・加速して粉末粒子を堆積して厚膜を形成する技術が溶射法と呼ばれます。この溶射法についてのフォーラムが開催されました。
 「粒子偏平挙動解析に基づく溶射プロセス制御指針」では、液相化した粒子が各種条件下で飛行して基板に衝突した際、「円盤状の平坦となるか」、あるいは「飛び散るスプラシュ状となるか」は、基板との動的なぬれ現象に関係し、飛行粒子のレイノルズ数などの物性値で整理できることが報告され、溶射に最適な飛行粒子の状態を付与する選定指針が示されました。
 従来の溶融した粒子の積層での皮膜の酸化の問題を抑制するため、「固相粒子成膜ウォームスプレイー法の現状と課題」、「固相粒子成膜コールドスプレー法の現状と課題」では、酸化が少なく緻密な成膜ができること、また融点の低い銅やアルミなどの成膜も容易なことが報告されました。
 また、放電現象を利用したMSコーティング(Micro Spark Coating)は、放電現象を利用した成膜法で、従来のメッキや溶射法よりも優れて皮膜性能を有しており、今後の適用の拡大が期待されるプロセスです。
 ウォームスプレイー法とコールドスプレー法では、従来よりも低い温度・高速で粒子を衝突させることで、粒子間の酸化抑制と高速衝突による粒子間の皮膜が破壊されます。またMSコーティングでは、放電現象による表面皮膜の破壊があります。「この皮膜の破壊プロセスが成膜の性能向上」に寄与していると考えらます。(2010.9.7〜9)

 

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