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2010 国際ウェルディングショウー 

 2010国際ウェルディングショウーは、東京ビックサイトの東3、4ホール(4/21〜4/24)で開催され、多くの参加者で賑わっておりました。「溶接、切断、表面改質、非破壊検査技術の総合展」で、日本唯一の溶接・接合の専門展でもあります。
 固相接合の観点から、見学して興味のある技術について紹介します。

1. Cuフランジ付きAlパイプ(プラズマ技研工業)

 AlとCuの接合は、接合界面に脆い金属間化合物を形成して、拡散接合では困難です。AlとCuの接合のポイントは、化合物を形成しない低い温度での接合プロセスが重要となります。
 これを実現したプロセスの一つが「コールドスプレイ」(プラズマ技研工業)と思います。「粉末粒子を不活性なガスとともに超音速粒で固相状態のまま基材に衝突させて成膜する技術」です、従来の溶融金属粒子を基板に衝突させて成膜する溶射技術とは、大きく異なります。
 下記の写真は、外径10センチメートル余りのアルミニウムパイプ上に、銅粉末を高速で衝突積層させ(付着効率95%)、引き続き機械加工して完成した電力用の部品です。アルミニウム基板に銅粒子一個が衝突した様子の電子顕微鏡の写真では、界面ではかなりの塑性変形が発生し、界面での表面皮膜が破壊させていることが予想されます。また、銅の積層体から切り出した引張試験片の強さも母材並みで、断面観察からも空隙は観察されないとのことでした。

2010.4.22-12010.4.22-2

Cuフランジ付きAlパイプ         Al基板にめり込んだCu粒子

2. 加圧力フィードバック形精密抵抗溶接装置(ミヤチテクノス)

 接合部を加圧しながら通電して加熱する接合法では、接合部の接触抵抗に起因するジュール熱で加熱されます。この接触抵抗を大きく左右する因子が、圧接時の加圧力です。通電すると接合材料が膨張するので、電極間の加圧力が増大することから、接触抵抗が減少します。接触抵抗の変動が接合部の品質の安定性のバラツキの原因ともなっていました。
 電極内にピエゾ素子を配して、熱膨張の影響を抑え加圧力を一定に保持するシステムを備えた抵抗溶接装置では、接合部の品質のモニタリングが可能となったほか、今まで困難な銅箔の接合も、安定して可能となるようです。

2010.4.22-3

積層銅箔の抵抗溶接

3.拡散接合による超音波評価用対比試験片(昭和製作所)

 非破壊試験で検出した欠陥は、人工的に設けた標準試験片での欠陥と比較して、有害さの度合いを判断します。
 人工的な欠陥の加工法は、機械加工や、放電加工法でした。 ブロックの一面に凹みを加工して、他のブロックと重ね合わせて拡散接合しますと、内部にいろんな空洞をつくることができます。拡散接合法では、どこにでも、どんな形状を持つ「非破壊試験用標準試験片」を作製することができます。注目される拡散接合の適用例でした。

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拡散接合による超音波評価用対比試験片(右)と切断試料(左)

4. 進化し続けるロー付技術(鑞付屋、エクセル眼鏡)

 眼鏡はロー付けで組み立てられています。各種チタン合金同士の接合の他、チタンと異種金属のロー付けなど、特に直径100μmのステンレス線とチタン線の鑞付けで、巧みの技を、顕微鏡を通して実感しました。このような「巧みの技を引き継ぐ若い人がいない」のが現状のようで、「ものつくり日本」を支える技能者不足の一面を感じた展示でありました。

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黒いビロード上の直径100μmのステンレス線とチタン線のろう付け体

 

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